平家物語第9話「平家流るる」感想
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第9話感想
前回におけるびわの動きがやたら不自然だった理由が実の母親に再開できたことで判明した、なんと、びわの母親は夫とびわを捨てて越後平氏である城資長に嫁入りしていたというのである!
越後行ったかと思ったら京にとんぼ返りした理由はこれ・・・しかも城資長は出陣前に卒中で命を落としてるしっていうしな。
彼の経歴を調べてみたら京で平家に仕えて検非違使をやってるじゃない、検非違使ってのは京を治安維持する人たちのことなんだけど、このあたりでびわの母親を奪ったってことになる。
そらあんたびわの父親は琵琶を弾き語る流浪の民になるわ・・・妻を奪われてるんだもの。
そして城資長の死後はひとり丹後に落ち延びたってわけか、しかもびわの母親は元白拍子でしょ?奪われる理由はだいたい分かったよな。
でもそんな母親を何故びわは一転して赦すことにしたのかそのへんが不明瞭だったかなあ、他のエピソードは駆け足ながらもよくまとまっていたからそこだけが残念に思える。
京を、一度は遷都させた福原を炎上させて西へと都落ちして「帝がいる場所が都」「いいえ、帝は(安徳天皇ただ)一人よ」と徳子はやはり幼い帝の母親としてだろうか、源氏が挙兵してからずっと悲観的になっていた清経と比べると間逆な発言をしていたが、そんな彼女たちがいる場所は今や都ではなく海に浮かぶ幾艘の船、あるいはオンボロで粗末な小屋っちゅうこの現実。
しかも雨に濡れる中大宰府を追われてどこにあるとも知らぬ安寧の地を目指す、まあそんな場所はとうに源氏により失われてしまってるんだけど、それでもどこかで落ち着いて平家が盛り返せるチャンスがあるなら・・・とひたすらに北九州をさまよう光景、これがあの大屋敷を追われた平家のいまっていうんだからなにも語り尽くせないな。
現代だったらあの国を侵攻しているお隣の国土がクソでかいあの国のあの大統領に、最期は国を信頼を何もかも奪われてタヒんでほしい、そんな姿を夢見ている人間が大勢いそうな気がする。
でも一度は義仲をめぐる源氏のゴタゴタの裏で勢力を再拡大できているんだよね、一度は戦で勝利しているし、まあまた不利になるとすぐさま敗走するもんだからむしろ勝利が逆効果になってしまっている一面もあるけれども。
一方で勢力を急拡大させていった木曽義仲はなんとナレ死だった。
平家視点の作品だから源氏の死なんてナレ死になっちゃうよね、しかし俺を征夷大将軍にしろって後白河に詰め寄ったり、京にたどり着くやいなや兵を使って街人を脅し女をいたぶる傍若無人な振る舞いをする、まるで全盛期の清盛みたいなことをしていたりした人物とは思えないほどの死に方だった、まあどんな偉人でも戦いで死ぬときは本当にあっけなく死ぬものだから・・・
ラストの熊谷直実が平敦盛を討ち取る場面、あの場面は能でも演じられているくらい有名だ。
だいたいこの二人は敵同士ながらセットになって描かれていることが多いかな。
ひとり馬に乗って逃げ遅れた平家の武将を見つけた直実が馬から降ろし一騎打ちを挑むもその武将が我が子と同じくらいの齢の人物であると知り助命しようとしたが直実の後ろから源氏の軍勢が攻めかかってきたのでそなたはあの軍勢から逃げられないだろうと涙ながらに自分の手で首をかいた、戦において討たなければ討たれる、そんな世の中の不条理を痛感した直実はその後出家して敦盛を弔った、若き敦盛の散り際もそうだけど、直実が出家する考えをよりいっそう増すきっかけとなったこの戦いの無情さが平家物語に深みを与えてくれる。
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