ましろのおと第4話感想:雪は独自の解釈で祖父の音を受け継いだ

2021年春アニメ



ましろのおと第4話感想「春の暁」感想


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第4話感想

今回はクラスメイトの朱利の祖母が疎開先で聞いた一節が雪の祖父の作曲した「春暁」の一節で、祖母がこの曲をずっと聞きたがっていることを知るも自分にはこの曲を弾くことはできないと一度は断るが、兄との電話で「記憶の上書きしてこい」と言われる他方で清流を怒らせたことに対しては「死ね!」と強い口調で言われつつカセットテープを送ってもらい何度も聞き込み音を作り上げ、念願が叶い祖母の前で独自の解釈でこの曲の音色を聞かせていったエピソード。

一方で前回自身のライブを終えたのち雪のなおざりな演奏を聞いた神木清流は彼を批判的な目で見るも、実際は彼の潜在能力を見抜いていて、引き出そうと多少なれど興味を抱いていたのであった。

雪が兄からカセットテープを送ってもらって祖父の春暁の音色を聞いてから、朱利の念願かなって祖母の前で春暁の独奏を聞かせるシーンまでを一気に描いてきたのね。

雪は祖父の死を機に青森から東京まで三味線背負って飛び出して神木清流の前でなおざりな演奏して怒らせたエピソード持ちだったんだけど、偉大な祖父の音を壊すことにはならないか、と祖父の作った曲を弾くために「自分しか弾けない」音作りにわりと長いこと何話かかけて悩むかと思っていたら、兄のひとこともあってか駆け足気味にあっさり1話でまとめてきよった。

祖父の作った音楽を俺が演奏してもいいのか、演奏できるのか悩める雪に聞き手は演じ手のことなど知らないから記憶を上書きしてしまえと受話器の向こうで語りかけるいい兄貴、からの清流を怒らせたことについて「死ね!」ではっきりとしたオチをつけてきてた。

つまりは兄貴は雪に祖父になろうとするのではなく、お前ならこの曲を聞き何を感じたか?どう音色を通してこの曲を聞く相手にメッセージを伝えたいか?それを素直に音に込めればいいとそう問いかけていたわけだ。

そこ、簡単に祖父の録音したカセットテープの音をそのまま聴かせればなんて言わない、現代のコンピューターに打ち込んで演奏し歌声もあとで編集されて音程をイジられる音楽シーンとは違い、三味線や筝、雅楽のような和奏は弾き手の顔が見えてこその音楽だから誰かが弾く音色を聞くってのに風情があるわけよ。

さて、春暁は雪の祖父により30年かけて作られたという、昭和の戦争中にさわりの部分から完成したってことは、完成した時はもうオイルショックが起きている時代か。

戦時中の極貧暮らし、敗戦による混乱と都市部からの買い出し客、朝鮮戦争特需にはじまった復興、そして所得倍増計画からはじまった高度経済成長、その象徴とも言える東京オリンピックの成功、新幹線開業、先進国の仲間入り、沖縄返還、第一次中東戦争がきっかけのオイルショック、とまあ1940年代からの30年の中でえらい激動があったのが昭和。

青森で生きる祖父が新聞で書かれる記事や街の風景の変化による時代の変遷とともに音との向き合い方も何度も変わり、そのなかでフレーズは徐々に変わって来てるとは思うんだけど、さわり、この曲の聞きどころだけは変えてきていなかった、つまりはこういう曲にしたいって思いは30年経っても色褪せることはなかったってことでもある。

もう御年70を超えるであろう朱利の祖母が知らないってことはこの曲は世間に発表されたわけではないのか。

朱利の祖母が疎開先で雪の祖父に会ったのは雪も降りしきる極寒の冬の季節だったっけ、ボロボロの三味線から鳴るかすれた音色は戦争と極貧だった冬の時代の終わりとともに豊かになる春の訪れを知らせ、8月9月には終戦となり、祖母も都市へと帰っていきそこから70年以上記憶の中でうっすらと…程度ではあったけれど覚えていて、いまこのとき、もう忘れていた部分の記憶も呼び起こされていった。

曲からは決して見えてこない、作られたときの時代背景を含まれるむずかしい曲を雪は短期間で自分なりの解釈でまとめ上げ、朱利の祖母の目の前で現代に蘇らせたんだから大したもんだよ。

なにせ高校生の雪は昭和の極貧だった農村を知らないだろってくらいにはこの曲が作られた戦時中と令和の世ではあまりにも時代が違いすぎるからね、当然昭和の終わり生まれの私もその時代のことは映像と歴史の教科書や書物でしか知らない。

とともにこれは雪が今までは祖父の色に近づけようとしていたけれど死とともに真っ白になった三味線の音に、自分の色を作り聞かせるための礎にもなった、まずは聞かせる相手は一人だけだけど、いずれは大人数になっていくだろう。

令和の時代も昭和のようにかなり激動になることはすでに確定しているが、その時代にもまれながらも自分の音色を見失わないでいてほしいね。

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